品川兄弟を知っているだろうか。

一般の方々にはあまり知られていないが、左官の業界ではかなりの有名人である。
何しろ不思議な才能を持っている。
弟の品川博さん(右側、帽子をかぶっている)は、ミニチュア細工で有名である。


これらはその作品の一部であるが、これをセメントを材料にして作っているのだから凄い。
別に、これを生業にしているわけでも何でもないが、彼の創作魂が勝手に手を動かして、根気よく
少しずつ、材料を塗重ねて作品へと結実するのである。
職人としての観察力、仕事の緻密さの賜である。
兄の清志さんは別の意味で凄い。
弟が仕事で使う色々な道具を、その創意工夫の才と器用さで、自作してしまうのだ。
その中でも、近年の傑作と言えるのが漆喰押さえゴテ。
これは、品川兄弟が漆喰の大規模な現場をやったときに、既存の鏝では飽きたらず、全く新しい発想の漆喰押さえ鏝を発明してしまったのだ。
そのアイデアを実際に形にしたのは鏝鍛冶五百蔵満弘氏。
鏝鍛冶として現代の名工と呼ばれるにふさわしい実力者である。
そんな品川兄弟が加古川からはるばる博多までやってきた。
CARVELの高倉潤氏に請われて、祇園たかしるや の仕事をするためである。
たかしるやはキャナルシティの近くにある。

頭を下げないと入れない低い入り口をくぐると、そこには黒い木目意匠のLIMIXが待っている。


一つの部屋の壁は、グレーのグラデーションを活かしたLIMIXで仕上げられているが、このグレーのグラデーションが予想した以上に良い感じを出していた。

調理場の背景にある、淡いグリーンのLIMIXは、実は特殊な織りのシルクが入っていて、その上下にある収納の戸には意匠を合わせた漆喰が塗られている。
漆喰セラミックと手仕事の漆喰とのコラボレーションが、この現場のテーマである。
若い高倉潤氏があまり経験が無いはずの漆喰とLIMIXの可能性と魅力とを上手く引き出しているのに驚く。
いや、むしろ若い感覚だからこそ出来るのだろうか。

オーナーの山本淳二氏にも気に入って頂けた様なのがなにより。
新装開店にふさわしい、気持ちの良い接客がされているので、先客万来となって欲しい。

また、一つ、城かべとLIMIXから生まれる空間を体感して頂ける現場が出来たことがうれしい。
建材は空間を作るための部材なので、小さなサンプルやカタログからだけでは、その最終的な姿を予想することは簡単では無いからだ。
食事も大変美味しいので、是非皆様も足をお運び下さい。
最後にもう一つ作品の紹介を。

こちらは、お兄さんの清志さんの作品であるが、硬いステンレスの針金を切って削って作ったもので、この写真は100体ほどもあった作品のごく一部である。
一体として同じポーズのものは無い、と言うか作れないそうだ。
やはり異才である。