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第7回 焼かない、ということ(2026年、これから)|田川産業株式会社

作成者: 田川産業|Aug 19, 2026, 1:08:13 PM

ここまで、ウクライナの話として聞いてきました。

ただ、話を聞いているうちに、これはウクライナだけの話じゃないのでは、と思いはじめました。そこを最後に聞いています。

そもそも、タイルって焼くものですよね。

焼きます。土をこねて、形を作って、窯に入れる。世界中でずっとそうしてきました。焼くから硬くなるし、水も通さない。

うちのライミックスは、焼かないんです。

焼かずに、どうやって固めるんですか。

石灰の粉を、ものすごく強い力で押し固めます。そのあと、空気中の二酸化炭素を吸いながら、ゆっくり固まっていく。大理石ぐらいの硬さになるので、床にも使えます。

焼かないと、何が変わるんですか。

窯が要らなくなります。

それは、大きいことなんですか。

大きいですね。タイル工場にとって、窯って一番大きな存在なんですよ。建てるのにお金がかかるし、動かすのにずっと燃料がいる。

そこがまるごと無くなります。

あ、それはウクライナに限らず。

そうなんです。それともうひとつあって。

タイル工場って、毎日、割れたものとか刷りそこないが出るんですよ。たくさん作れば作るほど出る。それは捨てるしかなかった。

それも原料になる。

なります。工場から出る二酸化炭素も、固めるときに吸い込むほうに回せますし。

つまり、戦争がなくてもがれきは出てる、ということですね。

そういうことです。

ウクライナの話は、いまどこまで来てるんですか。

現地での調査が、この7月に終わりました。ここから実証に入ります。期限は2028年の3月まで。

そこでうまくいけば、現地の会社が自分たちの手でラインを広げていきます。うちは技術を渡して、原料の一部を送る。工場を持つのは、あくまで向こうの会社です。

その先は。

ヨーロッパですね。環境に配慮した建材が求められてる市場なので。

中東からも少しずつ話が来はじめてます。あちらは石を使う文化があって、白が好まれるので。

ヨーロッパに拠点を作りたい、みたいな話はあるんですか。

これはまだ願望ですけど、支店は置きたいですよね。僕としては、ボローニャかな。

なぜボローニャなんですか。

タイルの本場なんですよ。毎年大きな展示会もあって。好きだから、じゃなくて、そこが中心だから、という理由です。

聞いてると、ウクライナは入口のひとつ、という感じもしてきました。

技術としては、そうなんです。灰でも砂でも割れたタイルでも、同じように混ぜられるので。

ただ、あそこのがれきだけは、他と同じようには扱えないですね。誰かの家だったものなので。あの処理場に立った日から、それはずっと残ってます。

最後に。うちは田川で石灰を掘ってきた会社ですよね。それがキーウのがれきを床にしようとしてる。

そうですね。

足元から出るものを、焼いて、混ぜて、壁にする。それを百年やってきました。ずっと同じことをしてるつもりなんです。

やり方は変わってない。

変わってないと思います。遠くまで来たように見えて。

いまの正直なところは、どうですか。

まだ何もできてません。工場もないし、契約もこれから。機械が入るまで何か月もかかります。

うまくいくかどうかも、正直わからない。実証ってそういうものなので。

それでも3回行った。

行きましたね。夜行列車に乗って、シェルターで寝て、機械を探して。

知り合いから連絡が来たのが2024年のはじめですから、二年半になります。ここまでは来ました。

というわけで、まだ途中です。

続きが出てきたら、また書きます。