2026.10.28
漆喰の抗菌性は、主成分の消石灰(水酸化カルシウム)
■ 抗菌性の理由:消石灰の強アルカリ性
消石灰は水に溶けると水酸化物イオンを出し、
漆喰の壁は、表面の炭酸化は比較的早く進みますが、内部まで完全に炭酸化するまでは長い時間を要します。炭酸化する前の消石灰(水酸化カルシウム)が漆喰内部に多く残っており、水分子と反応を続けることでアルカリ性になり、
■ 効かない・弱まる条件①:炭酸化が進む
漆喰が固まる仕組みは、
法政大学大学院の綱島史典氏による研究(2014年)では、漆喰は施工後に長い年月をかけて大気中の二酸化炭素と反応して硬化し、それに伴って抗菌力が低下することが指摘されています。同研究では、消石灰(水酸化カルシウム)を二酸化炭素で満たした環境に置く実験を行い、pHが徐々に低下することを確認しています ※1。
京都府農林水産技術センター畜産センターが農場消毒用の粒状消石灰を屋外に置いて調べた報告では、雨を受けた消石灰粒子は約10日でpH10を下回った一方、雨を受けなかった粒子はpH11程度までの低下にとどまりました。また、同報告で2か月間屋外に置いた消石灰は、表面が炭酸カルシウムに置き換わる一方、内部は消石灰の状態を保っていたことも示されています※2。これは壁材ではなく消毒用の消石灰の試験ですが、「水分があると表面の炭酸化が進みやすい」という性質を理解する参考になります。
なお、炭酸化は表面から内部へゆっくり進むため、
■ 効かない・弱まる条件②:表面が覆われる
漆喰の抗菌作用は表面で働くため、
- 漆喰の上に塗料やコーティング剤を塗った場合
- 油汚れ・手垢・ホコリなどが厚く付着した場合
- 樹脂分を多く含む製品で、表面に消石灰が出にくい場合
「漆喰」と表示されていても配合は製品ごとに異なります。
■ 効かない・弱まる条件③:湿気が多くカビの栄養がある環境
アルカリ性の漆喰はカビが生えにくい材料ですが、

■ 抗ウイルス性について
塗料メーカーと大学の共同試験で、
壁に触れたウイルスが不活化されることがあっても、
■ 消臭性の理由と限界
漆喰がにおいを和らげるのは、
- 多孔質の塗膜が、においの成分を含む湿気を吸着する
- アルカリ性の表面が、酸性のにおい成分(汗のにおいの一部など)
一方で、アルカリ性のにおい成分(アンモニアなど)
■ メーカーとしての見解
漆喰の抗菌性は、石灰が持つ化学的な性質に基づくもので、
なお、石灰が二酸化炭素と反応して固まる炭酸化は、
■ まとめ
- 漆喰の抗菌性は、主成分の消石灰が示す強いアルカリ性による
- 漆喰は炭酸化して固まるため、
- 塗料や汚れで表面が覆われると効果は出にくい。
- 抗ウイルスの試験結果は特定条件でのもので、
- 消臭は吸着・中和によるもので、
■ 参考文献
※1 綱島史典「漆喰の炭酸化過程における抗菌効果の低減抑制について」『法政大学大学院紀要. 理工学・工学研究科編』第55巻、法政大学大学院理工学・工学研究科、2014年3月、pp.1-2. https://doi.org/10.15002/00010440
※2 安富政治・藤井清和「農場消毒における粒子状消石灰の経時的変化と特徴」『京都府農林水産技術センター畜産センター試験研究成績』第14号、京都府農林水産技術センター畜産センター. https://www.pref.kyoto.jp/chikken/documents/h31_4.pdf