リヴィウで、大きな病院を訪ねたと聞きました。
工場の話とは関係がありません。ただ、この話を飛ばすと、行った意味の半分が抜けてしまう気がしたので、そのまま書きます。
リヴィウでは、病院にも行かれたんですよね。
行きました。アンブロークンという名前の病院です。壊れない、という意味ですね。
どういう病院なんですか。
手足を失った人の手術とリハビリを専門にしてるところです。ウクライナで一番大きくて、たぶんヨーロッパでも最大規模だと聞きました。
前線から、直接運ばれてくるんですか。
いえ、段階があるんです。前線で地雷を踏んで足を失って、まずその場で応急処置を受ける。それから大きな街に移されて、一度目の手術を受ける。そして最後に、この病院に運ばれてくる。
ここで最終的な手術を受けることになります。毎日、何十件も。
実際に、患者さんもいらっしゃるわけですよね。
手術を終えた方たちが、それぞれの方の障害に合わせたリハビリ室にいらっしゃって、義手や義足に慣れるための、歩行の訓練や、手作業の訓練、運転の練習のための機材や、メンタルケアの病棟など、本当に巨大な病院でした。
片足のない方、両足のない方、両手のない方。何人か、という数じゃないんです。
……。
7月には爆撃にも遭われてますよね。
遭いました。夜のたびに地下に降りて、空襲警報が鳴るってどういうことかも知りました。
それでも、戦争のリアルを一番感じたのは、爆撃じゃなくてここでした。
建物じゃなくて。
人の体でしたね。
この病院、日本人が関わってるとか。
そうなんです。施設に、坂茂さんが関わっていて。思いがけないところで日本の名前を見ました。
うちの仕事は建材をつくることです。がれきを床や壁に変えることです。
この病院で見たものと、その仕事を、うまくつなげて語ることはできません。無理につなげるべきでもないと思います。
ただ、見た。そのことだけを書いておきます。