工場を作るとなると、機械が要ります。
ここが一番時間のかかったところだ、と聞きました。
ウクライナに工場を作るとして、機械はどうするんですか。
そこが一番の問題でした。ライミックスは焼かないかわりに、とても強い力で押し固めるんです。そのための機械が要る。
日本で作れないんですか。
国内でも探しました。ただ、これがなかなか難しくて。
技術的に、ということですか。
技術の話もありますけど、それ以上に、戦争をしている国に設備を入れるという時点で、話が前に進みにくいんです。
ああ……。
日本企業って、ウクライナでの活動はまだかなり制限されているんですよ。もともと現地にあった会社も、駐在員の方は隣国に避難されていたりします。大手であるほど、中々ウクライナでの設備投資に対する協力は社内での承認が得られにくいです。
それは、責められないですね。
責められないです。うちみたいな規模の会社が、戦時下の国に設備を入れたいと言っても、リスクの取り方として合わないというのは、当然のことだと思います。
じゃあ、どうやって見つけたんですか。
これは偶然なんですけど、同じころトルコにも通ってたんです。2025年の5月ごろから。
トルコ。
数年前に大きな地震のあった地域があって。そこでも、震災のがれきを建材にできないかという話が動いてたんです。ウクライナとは別の線ですけど、考え方は同じで。
その流れで、現地のセラミックメーカーを訪ねたんですよ。
ウクライナとは関係なく。
関係なく、です。
そこで何かあったんですか。
工場に入って、ふと気がついたんです。イタリアのプラントメーカーの設備が入ってる、と。
見覚えがあった、ということですか。
そうなんですよ。思い返したら、ウクライナで見せてもらったタイル工場にも、同じメーカーの設備が入ってたんです。
あ。
どこの工場に行っても、そこの機械があるんですよ。トルコにも、ウクライナにも。
ということは、そこに頼めば。
ここなら作れるかもしれない、と。
それは、行ってなかったら気づかなかったですよね。
気づかなかったですね。カタログを見てても分からないので。
すぐ連絡したんですか。
11月に声をかけて、年が明けて2026年の2月にイタリアの本社を訪ねました。そこからドイツにある実験室に移って。
実験室。
向こうも作ったことがないので、できるかどうか分からない、というところからのスタートでした。日本から原料を送って、向こうの設備で、どうやったら固まるのかを一週間試して。
一週間。
結果は。
できる、と。
結果的に、この会社と組めて良かったんじゃないですか。
そうなんですよ。押し固める機械だけを作ってる会社じゃなくて、セラミックのタイルを最初から最後まで一貫して作ってる会社なので。
だから細かいことを知ってるんです。こういうやり方があるんですね、と教わることのほうが多いくらいで。
一貫してやってる強さ、みたいなことですか。
そうですね。設備も、いま田川で使ってるものより小さくて効率がいいんです。
探すのに、けっこうかかりましたよね。
かかりました。一年近く、ここで止まってましたから。
でも、動き出してからは早いですね。
11月に声をかけて、2月にはドイツにいましたから。早かったです。